ガイド資格を取得し、晴れて通訳案内士としての道を歩きはじめたみなさんにまず立ちはだかる壁が仕事を得る、ということかと思います。
特に今まで全く違うフィールドでお仕事をされていた方にとってはどこからはじめていいのやらと路頭に迷い、最悪の場合 資格はそのままにガイドのお仕事も諦めてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
事実、平成26年度の観光庁発表の『通訳案内士の就業実態等について』によれば
通訳案内士の年間就業日数は30日以下が半数以上!
51〜100日が14.7%
101〜150日は5.2%
一般的な会社員並の就業日数(ここでは201日以上)働いているガイドさんは全体の0.6%だそうです。
年収に関して言えば
200万円以下が約半数。
一般的に言われている会社員の年収の400万円以上稼いでいる人はわずか4%とのこと。
え...通訳案内士で生活するなんて無理じゃん...!と、一瞬愕然となりますが、
この数字にがっかりしているようでは通訳案内士の仕事で生活はできません!!
また、いろいろ登録はしたけれどなかなか仕事がない、という方の参考にもなれば幸いです。
(注:統計の数字は専業、副業合わせた通訳案内士6705名からの回答で、回収率はわずか58.4%、両統計とも無回答も多いので個人的には信ぴょう性に欠けるなぁという感想です。何より私アンケート答えてないし!)
ガイドとして働く私の肌感覚では...
これはあくまでも横浜在住で都内観光の依頼が大半を占める私の肌感覚でしかありませんが、現在訪日外国人観光客数が激増している中で、都市部しかも東京で仕事がないというのは正直理解しにくいのです。
年々、通訳団体や旅行会社は明らかに忙しさが増していますし、
「この日空いてませんか?」という連絡は繁忙期でなくともコンスタントに来ます。
通訳ガイド団体や旅行会社に数件登録して、自分個人でも導線はって、通訳案内士仲間がたくさん作って情報共有すれば、新人ガイドさんでも比較的仕事が見つかるようになったと感じているのがここ数年です。もちろん、選ばなければという前提ありですが。
それでも仕事がないという方は、もしかすると以下ガイドとしての基本的要素がかけているのかもしれません。
仕事が獲得できない方の原因とは??
1「受け身」の姿勢
新人だから、まだ経験が足りないからと、自分で積極的に仕事を求めにいくより
「新人でもOKの簡単な仕事の募集がないかな」とひたすら待っている方、たまにお会いします。いろんな研修に出て知識を蓄えているつもりでも、実際に出番がないのでその知識も有効に使われません。「なんでもやります!挑戦します!」という最低限必要な意欲すら持ち合わせてなければ当然依頼もされません。
また、忙しいガイド仲間からのおこぼれを待っている方。通訳案内士仲間がたくさんいることは様々な情報を共有できたり思わぬ縁が転がり込んだりするのでとてもいいことです。
ただ、自分からは他のガイドさんの助けはしないのに、人からは期待するのは虫のいい話。世の中そんなに甘くありませんし!
「この日代わりに入ってくれない?」と言われるにはこの人なら任せても大丈夫と確信を持ってもらわない限りチャンスは回ってきません。どんなに小さな仕事でも真摯に向き合っているか、自分でもできる限りの営業はしているか、人としてガイドとして魅力的か。自分を振り返って見る必要があります。
2パフォーマンスの低さ
通訳案内士にとって唯一の評価基準となるのが、お客さまからの口コミです。
口コミを甘く見てはいけません。
依頼する側にとっては大切な判断資料です。仮にエージェントさんからのお仕事で、あなたとお客さまとの相性が本当に悪く、ひどい口コミをもらってしまったとしましょう。エージェントさんはガイドさんに事実確認をして双方の相性が悪かったとわかっても、あなたの印象がよくなることは少ないでしょう。どんなにやりにくいお客さまでも最後まで投げ出さず、なんとかツアーを喜んでもらう方法を探らなければいけないのがガイドの仕事です。
これが数回続き、しかもネガティブな評価の内容が、知識不足よりも勤務中の態度であればなおさらのこと、会社の信用にも関わってくるので当然依頼は遠のきます。
基本的にお客さまが自分の大切な時間を削っても口コミを書こうと思うのは
「本当に素晴らしかった時」か「本当にひどかった時」です。
それほど感情が高ぶっている状態のコメントなので嘘ではないということです。
いかにしていいガイディングができるか常に考え、お客さまの望みや期待に答えられているガイドさんは当然いい評価がついてきますし、いい口コミを見た他のお客さまからの「ご指名」も多いにありえます。
また、エージェントさんと円滑に仕事ができているかも重要です。普段の勤務態度や提出物の遅延など気の緩みで自分の信頼を損なえば、エージェントさんもお客さまをお願いする気持ちにはなりません。どの仕事にも通じる単純な話ですが、軽視しがちなことでもありますので注意しましょう。
3.目立ちたくない
本当に本当に興味深いのですが、私が一番理解に苦しむ方たちで「目立ちたくないガイドさん」という人種がいます。日本人の性格からなのか、自分のプロフィールや顔写真を公開したくないというガイドさんは意外にもお会いします。
「仕事は欲しいんだけど、写真は出したくないの」と言われても
「 … 。 (え...じゃ仕事は増えなくて当然よね)」と心の中で思うだけですが...。
エージェントさんや旅行会社が自分をわかっていればOK、そこからの仕事さえあれば大丈夫、というのであればそれ以上何もいいませんが、仕事を増やしたいのであれば通訳案内士はどんな方法であれ個人で目立つことが必要です。
旅行会社のホームページ内のガイド紹介であれ、個人のホームページであれ、Facebookであれブログであれ、自分はこんな人間でこんなことをしています!と世界にアピールする。そのアピールが直接お客様に伝わったり、国内外からのエージェントが見ていて連絡してくることもあります。とても小さなことではありますが、これだけITネットワークが整っているご時世でいつどこで誰が、どのソースから見ているかわかりません。
ぜひもっと目立つことに力をいれてください。
まとめ
通訳案内士免許をとったものの自分をアピールできずに月日が経ってしまい、
勝手に「やはり仕事がないという噂は本当だった」と諦めてしまう方は実は多いのではないかと思います。
また、アピール下手の方の多くは表情にも発言にも自信のなさが現れるため、依頼する側もお願いしたいとは思えません。最初は根拠のない自信でもいいのです。どんなチャンスも逃さず、積極的に手を挙げて、仕事が来たら全力で向き合い経験をつむことに集中しましょう。
他の通訳ガイドさんたちと積極的に関わりを持つことで新たなつながりが生まれ、思わぬ縁につながることがあります。知り合いになった方は大切にし、双方に助け合える間柄になりましょう。