通訳案内士のことを紹介した書籍などではガイドさんがツアーの下見でどんなことを確認するのか、など書かれているものをよく見かけます。

トイレはどこか、説明すべきは何か、集合場所はどこがいいか、近くの緊急病院はどこか、などなど。

 

担当するツアーがスルーツアーか一日ツアーか、バスツアーなのかFITなのかで、下見する内容や確認しておかなければいけないことは微妙に変わってきますが、今回はFITの1日ツアーをする際に私が個人的にどんなことに注目して下見をするかご紹介したいと思います。

 

仮にあなたが東京在住で都内1日ツアーを担当する場合、全く新しい場所に行く可能性は低いのでこれといった下見は必要ないと思われるかもしれませんが、私を含め多くのガイドさんは行ったことがある場所でも改めて下見に行かれる方が多いと思います。

その理由は、最近は行ってなかったからとか、トイレはどこかなどの確認の問題だけではなく

短いツアー時間の中での時間配分を考えたり、どこから、どうやって説明をしたらどう効果的か、立つ場所によって面白い見せ方ができないか、動線確認などするためです。また、意外な場所をリクエストされたりすることもあるので「なぜここ...?」という場合もその理由を突き止めるために下見に出かけたりします。

さらに私の場合、ツアー中にガイドが道に迷う事態はお客様にかなり不安感を与えると考えているので、道順の確認だけの理由で行くこともあります。私のように失敗や焦りがすぐに顔に出てしまう方はここだけでもちゃんとわかっていれば比較的落ち着いて仕事ができるでしょう。

 

 

では、今まで行ったことのない場所にお客様を案内することになった時は何をするかと言いますと、

「現地での下見」と「情報集め」です。

 

「現地での下見」とは

・現地に足を運んでエリアの下見(訪れる場所の動線確認、施設内トイレなどの場所確認、食事の場所、エージェントから送られてきた資料との照らし合わせ)

・訪れる場所の資料集め(お客様にお渡しする喜ばれそう、もしくは自分が知っておいた方が良さそうな情報が載っているパンフレット、地図集め)

・場合によってはそこにおられるボランティアの方に案内をお願いすることもあります

 

今やインターネットの検索でなんでも調べることができますが、食事をする場所などは自分の経験や五感を頼りに、候補を考えておくことをオススメします。行ったことがなくても良さそうと思えるお店は事前にちらっと覗くだけでもしておいた方が良い場合が多いです。

「HungryはAngry」です。

お腹が空いていると人は少しイライラしますし、イライラしている状況で満足できない食事が出てきた日には残りのツアー時間中の雰囲気も悪くなってしまうかもしれません。

 

下見の際に確認するポイントはいくつかありますが、お客様が気持ちよく過ごせるように配慮し

 

ートイレはトイレでもキレイなトイレはどこか(洋式トイレがあるか)

ー両替なら周辺で(急ぎでないならツアー中で)一番レートのいい場所はどこか

ー昼食ならお客様がリクエストしそうなジャンル(ラーメン、そば、うどん、天ぷら、寿司、とんかつ、ベジタリアン、グルテンフリー、ハラルなど)+自分のオススメを考えておく

 さらに椅子や掘りごたつの席があるか、全面喫煙でないか、リクエストや融通を聞いてもらえそうか(アレルギーや好みによってこの食材だけ抜いてほしい、など聞いてもらえるか)

ー同じものを扱うお店の比較(例えば着物を扱うお店がある場合、周りにセカンドハンドショップはないか、さらにお手頃な質の良い着物屋さんはないか)

ー駅構内のエレベーター、エスカレーターの有無、距離

 

と少し細かく見てみるようにしています。

 

 

 

「情報集め」とは

・エリアの最新情報集め、時事ネタ集め

・エリア、施設の説明内容の整理(ビジュアライズした方がわかりやすいものを説明用にタブレットに入れる)

・エージェントさんからの指示やお客様の前情報の確認、打ち合わせ

・イレギュラーなイベントや休みがないか念のために確認(ホームページだけではわからない時は電話で問い合わせることも必要)

 

まで確認できると当日焦りません。

 

 

下見の費用は誰が出す?

基本的に下見にかかる交通費や拝観料などのお金は、エージェント経由のお仕事であってもでません

(1日ツアーの場合は特に...)。個人に依頼されたツアーの下見にかかる経費は確定申告の際に申告しています。ガイド証は基本的にお客様と一緒の時に効果を発揮するのですが(自分の入場料がタダになリマす)、誰もお連れていない時も稀に利用できることがあるので持参するといいかと思います。

下見の頻度としては一度確認していれば、ツアー中にもう一度行きますし、すぐに同じところに行くことはほぼありませんが、通訳ガイド1年目は下見にお金や時間がどうしてもかかるのが現状です。

 

 

任されているからこそ期待されている下見

エージェントさんからの仕事であっても、案内する内容も基本的に任されているので足りない知識は自分で予習して補うしかありません。ツアー中の説明に使用するものがあるのであればそれも自分で用意することになります。

ツアー中の食事も食べるところが指定されていない限りガイドが決めることになりますので、私たちの仕事は当日のガイディングだけの話ではなく、もっと包括的で広い範囲でのマネジメントを期待されています。

エージェントさんから「下見してください」とお願いされることはほぼないと思いますが、当日はスムーズにお客様を案内できて当然と考えるため、自信がないのであれば下見することは十分に期待されていると言えます。